災害発生時の栄養管理

日本循環器学会/日本高血圧学会/日本心臓病学会合同ガイドライン(2012‒2013 年度合同研究班報告)災害時循環器疾患の予防・管理に関するガイドラインから引用

1. 災害発生時の栄養管理のポイント

1.良質な食事

  1. 食事は安定して提供(1 日3 食,時間帯など)されているか.
  2. 野菜・果物の補給が困難な場合,野菜ジュース(無塩のもの)などでカリウムの補給はされているか
  3. 平時以上に食塩感受性が強くなるため,現状の環境に適した減塩(漬物や汁を減らすなど)の対応を取っているか.

2.体重の維持

震災前より体重が増加する場合には,炭水化物に偏ったエネルギー過剰や浮腫が考えられる.また,継続した体重減少には栄養障害の可能性がある.

3.感染症予防

上下水道は整備されているか.可能範囲で手洗い環境(消毒など)やトイレの衛生などに注意する.

4.血栓予防

水分は1 日1 L以上を確保する.食事摂取状況が不良の場合は,とくに水分不足に注意する

5.その他

  1. 服薬中に注意すべき栄養素

    ワルファリン服用中は納豆,クロレラの摂取に注意し,カルシウム拮抗薬服用中はグレープフルーツジュースを避ける.

  2. 合併症の食事
    1. 腎疾患

      血清カリウム値が高値の場合,生野菜,果物(とくにバナナは1 本で400~500 mg のカリウム量があり,カリウム制限が必要な場合の1/3 日量のカリウム量となる),野菜ジュースなどカリウム含有量の多い食品は避ける.

    2. 糖尿病

      体重を計測し,増加しないように食事量を調整する,とくに菓子類,ジュースなど単純糖質の過剰摂取を避ける.薬物療法施行中の場合,食事回数,食事時間帯など災害時 の食事環境が従来のものと非常に異なる場合には注意が必要である.

2. 家庭で可能な減塩災害食の備え

市販されている一般的な災害食は,賞味期限が長く,常温において保存可能なものとして工夫されているが,栄養素量が未表示であったり,食塩含有量が多かったりする場合がある.平時から使用可能な食材をランニングストックとして常備しておくことが望ましい.
ナトリウム量が表示されている場合は,下記の式により食塩量を換算するが,食塩1 g はナトリウム約400 mg と覚えておくと便利である.
食塩相当量( g)=ナトリウム量( mg)×2.54÷1,000

3. 災害時の家庭における調理法(ライフライン復旧までの対応方法)

  1. 災害後1食目など加熱ができない場合

    常温で食べられる缶詰やジュースなどで準備する.組み合わせのポイントは,主食(ご飯,粥,パン,麺など)と副食(おかず)をそろえることである.副食の主菜は蛋白質源のもの,副菜は野菜がよい.

  2. 料理用の水,カセットコンロなど,簡単な加熱調理が可能な場合

    缶詰,レトルトパックなど,湯せんで温めることや汁物の調理が可能である.